やすだ農園
――やすだ農園について、お教えください。
安田:
「とちおとめ」という品種のいちごの栽培と販売を行っている農園です。
2024年の春に就農をし、施設を建てる準備をしたり、土地の貸借契約などを行い、2025年末にいちごの直売所をオープンさせました。
須賀川市や鏡石町のいちご農園さんが作られるいちごを食べた瞬間、これまでのいちごの概念を吹き飛ばしてしまうほどの衝撃を受けたのがきっかけで、「おいしさで人を喜ばせるようないちごを自分でも作りたい」という想いからいちごの栽培を始めたんです。
実際に農園としてオープンさせてからは、母や叔母、姉や主人などが手伝ってくれていて、家族で協力しながら「楽しい」をモットーにいちご栽培に励んでいます。
当園の所在する安積町の成田地区というのは、以前は「いちご団地」と呼ばれるほどいちご農家が多い地域でした。当園がお借りしている土地も、40年ほど前までいちごを栽培されていた土地らしく、いちご栽培に適した土質になっているので、当園のこだわりである昔ながらの土耕栽培に適した環境なんです。
――現在、取り組まれている連携についてお教えください。
田村:
やすだ農園さんに、当社が開発している地中熱システム(冷暖房)を実験的に導入いただいています。
当社の地中熱システムは、一般的なエアコンと比較して、省エネで効率的な冷暖房です。一般的なエアコンが外の空気と室内の温度差を利用して熱を作るのに対し、地中熱システムでは温度が比較的安定している地中熱と常時触れている「地下水」を使用して熱を作ります。地中は平均15度と言われていますので、例えば、外気温0度の状態で室内気温を25度にするのと、地中温度が15度の状態で室内温度を25度にするのとでは効率が異なるのです。
安田:
いちごは、ハウスの中を強く暖めないと栽培できません。旬である冬にハウスを十分に暖めようと思うと、重油代がかなりかさんでしまうことに悩んでいました。これだけSDGsやカーボンニュートラルが叫ばれている時代に逆行してしまっているのではないかと感じたこともあって、効率がよく、省エネルギーな方法で暖められないかと模索していました。
そんなときに田村さんと出会い、この地中熱システムを試験的に導入することに決めたんです。導入に際しては、郡山市農福商工連携イノベーション推進補助金を活用させていただきました。
また、この実験には、農機具メーカーの福菱機器販売さん、日本大学工学部さんにもご協力いただいていますので、この実験を通した連携では農・商・工・学が連携している形になりますね。
――地中熱システムは具体的にどのような形で導入されていますか?
田村:
実験的に導入いただいているこのハウスで暖めているのは、空気ではなくいちごのクラウン(根本)です。空間を暖めるのではなく、いちごのクラウン付近に通したパイプに地中熱で作った温水を流し、その付近だけをピンポイントで暖めています。
「実験」ですので、同じ環境でも条件を少し変えた3パターンの畝で栽培していただいています。現段階でも生育度合いが違っているので、どのパターンが理想的なのかを見極めている途中ですね。
安田:
今はこのハウスで実験的に導入していて、地中熱システムを使って栽培したいちごの味を確かめながら、商品化できるかどうかを含めて実験を続けているところです。最終的には、メインのハウスにも地中熱システムを導入したいと考えています。
――連携事業を行ってみて、良かったことは何ですか?
安田:
自分にはとても思いつかないようなことをご提案くださるということは、連携していてよかったなと感じる点です。普段は農業のことばかり考えているし、工学的な知識は持っていないので、専門の方に色々と教えていただけたりご提案いただけるというのは強みですね。
田村:
実験の過程でデータを取ることはできるのですが、そのデータの良し悪しというのは、実際に農業に関わっている方にしか分かりません。取れたデータのどこが良くて、どこが悪いのかというのを安田さんと議論しながら展開できることが、良かったと感じるポイントです。
――現在行われている連携の目標は何ですか?
安田:
まずはこの地中熱システムを活用したいちご栽培をパッケージ化し、実用レベルにすることが目標です。また、このシステムを使うことで、いちごの栽培が可能な時期が少し長くなる可能性もあると思いますので、いわゆる「夏秋いちご」の商品化にもチャレンジしていきたいですね。
――今後、連携事業を考えている方々へアドバイスはありますか?
安田:
連携するからには自分のやり方にとらわれず、相手の提案をきちんと聴くことが重要だと思います。まずは受け入れて、試してみるということが何より大事なのではないでしょうか。
田村:
私は、お互いが「最終ゴール」を共通して持つことが大切だと考えています。最終ゴールをお互いが共通して認識していれば、普段の議論なども有意義になりますし、その過程で通るであろう様々な通過点も一緒に乗り越えていけると思いますね。
| やすだ農園 | |
|---|---|
| 住所 | 〒963-0112 福島県郡山市安積町成田漆山38-1 |
| 掲載ページ |
https://koriyama-monodukuri.jp/companydetail.php?cd=289 https://www.instagram.com/yasuda_ichigo/ https://link-f.net/ |