株式会社宝来屋本店

2022.11.7

明治39年に糀専門店として誕生し、糀を活かした「三五八漬けの素」と「味噌」、ノンアルコール・ノンシュガーの「あま酒」の3本柱を主軸として製造・販売する福島県郡山市の株式会社宝来屋本店。
企業としての歴史が長いことから、「お新香三五八」や「濃縮あまざけ」など、展開商品には定番が多いイメージがありますが、実はこれまで数々の連携商品を開発・販売しています。
積極的に行っているという企業間連携について、柳沼広呂人社長に伺いました。

――これまで開発された連携商品についてお教えください。

代表的なのは、東北協同乳業(現 酪王協同乳業)様との連携商品である「あまざけヨーグルト」。東北協同乳業様とは元々交流があり、お互いの商品であるヨーグルトとあま酒は味の相性がよく、かけ合わせたらきっとおいしいぞ、ということで、開発に取り組み始めました。テレビ番組でお笑いコンビのホンジャマカの石塚さんに「まいう〜」をいただいています。
2021年の2月に販売を開始した「RISE CACAO(ライズ カカオ)」は、市内で珈琲店を営む富久栄商会様と共同で開発した商品です。2020年の秋ごろに開発を開始し、連携がスタートしてから2、3か月で開発しました。弊社の専務が開発を担当しておりまして、トントン拍子に話が進み、あっという間に完成していたという感覚です。
2022年に入って販売を開始した米糀発酵飲料「MOKO」は、地元のサッカークラブである福島ユナイテッドFC様と大野農園様と3者で連携開発した商品です。福島ユナイテッドFCのGM(ジェネラル・マネージャー)と会合で知り合って意気投合し、弊社のあま酒を使って何かコラボができないかという話になり、開発を開始しました。

あま酒にはビタミンやブドウ糖、アミノ酸などの身体が元気になるエネルギーが豊富に含まれています。そこで、サッカーの試合を終えた後の選手のリカバリードリンクをイメージした飲料として開発しよう、と。
福島と言えば「桃」のイメージが強くありますから、福島ユナイテッドFC様と懇意にしている大野農園様が栽培する桃の果汁を使用し、福島らしさのある味を目指しました。 投入する桃果汁の割合を0.1%単位で調整しながら試作し、たくさん飲み比べて、ようやく作り上げた自信の一品です。
他にも、岩瀬農業高校様や大熊町様など福島県内の団体や大阪府や長野県などの県外の企業様と連携して商品を開発した経験があります。
実現しないものも含めると、年間で10件以上は連携のお話をいただきますね。

――連携によって得られたメリット、デメリットをお教えください。

メリットは、連携した企業の商流・物流に商品を乗せられること。例えば通信販売が強い企業と連携すると、その企業が持つ何十万人という顧客に発送されるカタログに商品を載せていただけます。それだけでも、弊社の知らない商流・物流に商品を乗せられることになり、売上的なメリットは大きくなります。
首都圏のスーパーなどは、連携していれば商品導入の追い風になるはず。
弊社の知らない商流・物流に乗り、新しい顧客に商品を知っていただけるというのは、非常にありがたいことです。
デメリットは、例えば県外の企業と連携した後に、弊社の商圏でバッティングする可能性があるということです。
そのあたりは暗黙の了解のようになっている部分ですが、長く連携していると、見境が無くなってしまうということもありえます。
むやみに連携先企業の商圏に入り込みすぎない配慮は必要かもしれません。

――連携を行う際に気をつけるべきことは?

先程のデメリットの話で出た、商圏におけるバッティングの防止などの取り決めを、しっかりと双方で確認しながら最初の契約を取り交わすことです。
契約ではなく覚書でもよいのですが、お互いの商圏は守るという意識を双方で持てるよう、事前に話し合いを行う必要があると思います。
物流費も後々問題になりやすい課題です。
距離や重量等で運賃は大きく変動してきますので、面倒がらずに数字的な部分もしっかりと確認することが大切ですね。
また、お互いがブランド力を高め合うという大前提を意識しながら連携を進めることも重要です。進め方によっては「連携だけれど、下請けのようになっている」というようなマインドになってしまう可能性もあるため、コミュニケーションをしっかり取りながら進めていく必要があります。例えば連携商品のパッケージにお互いの会社ロゴを入れるなど、お互いが納得する形で連携できるのが理想ですね。

――今後、宝来屋として取り組んでいきたいことは何ですか?

弊社は「あま酒をお客様においしく味わっていただき、元気で健康になっていただきたい」という理念を持って活動しています。
そのため、社名をアピールするということは当然大切ではありますが、それ以上に糀の魅力を多くの方に伝えられるよう、連携を積極的に進めていきたいです。
県内ではブランド力を高めること、県外では地域のメーカーの強みを大いに活かすことなど、県内外で目的を切り替えながら、お互いが高め合える質の高い連携を目指します。
オール福島県産材料の味噌の開発や、地元飲食店とのコラボメニューの開発など、考えられる連携はたくさんあります。
ぜひ郡山市には積極的に企業間連携を推進していただいて、もっとたくさんの企業同士がどんどん連携していけるような環境になればよいと考えています。

株式会社 宝来屋本店
住所 〒963-0725 福島県郡山市田村町金屋字川久保54-2
TEL 024-943-2380(代表)
FAX 024-944-6859
掲載ページ https://koriyama-monodukuri.jp/
companydetail.php?cd=117